サウンドスケープ設計の流れ:ヒアリングから納品まで
「依頼してから納品まで何をするのか、よくわからない」という声をいただくことがあります。制作プロセスが見えないと、依頼するかどうかの判断もしにくいと思います。ここでは、フルパッケージの制作がどのような流れで進むかを整理します。
第一段階:ヒアリングと現地視察
制作はまず、施設のコンセプト・ターゲット層・現在の音環境についてのヒアリングから始まります。初回はオンライン(Zoom)または施設への訪問で行います。この段階では、施設が持つ「音のイメージ」を言語化することに時間をかけます。
ヒアリングの後、必ず施設を訪問します。昼と夕方の二回、何も音楽が流れていない状態で空間の音を記録します。空調音・外部からの騒音・建物固有の残響特性を把握することが、この段階の目的です。
第二段階:録音地の選定とフィールド録音
ヒアリングと現地視察の結果をもとに、フィールド録音の場所を選定します。施設のコンセプトと地理的な整合性を考慮しながら、候補地を二〜三か所リストアップし、施設担当者と相談して決定します。
フィールド録音は通常一〜二日かけて行います。収録した素材はその場でモニタリングし、必要に応じて翌日に追加収録を行います。収録後、スタジオに持ち帰って編集・マスタリングを行います。
第三段階:デモ確認と本制作
編集が完了した段階で、約3分のデモトラックを制作して施設担当者に確認していただきます。音の方向性・素材感・テンポ感について、この段階でフィードバックをいただきます。
デモへのフィードバックをもとに、本制作(15〜30分のシームレスループトラック)を完成させます。納品前に、施設の再生環境に近い条件で最終確認を行い、WAVとMP3の両形式で納品します。ライセンス書類も同時に発行します。
制作期間の六〜八週間のうち、実際の録音や編集作業は全体の半分程度です。残りの時間は、施設との対話と確認に使っています。その時間が、最終的な素材の質を決めると思っています。